冬にこそ欲しい「葛」の美味しい効果
葛根湯で有名な「葛根」は冬にこそ欲しい最高漢方だった!
「葛(クズ)」と聞いて思い浮かぶ物はありますか?
葛湯。
くず餅。
くずきり。
葛根湯。
そう、あの、葛根湯の生薬の一つ葛は葛湯として飲む、あの「葛」だったんですね。
葛というのマメ科クズ属のつる性の多年草で、アジア圏ではよく見かけるツル植物の一つなのですが、成長が早く、樹木に絡むため、有害植物と見なされている一面もあります。
また、近年ではアメリカなどに持ち込まれてしまった葛が、その繁殖力の高さや、葛を食べる動物がいないことから、侵略的繁殖をしてしまい、駆除対象の植物となってしまいました。
そんな葛ですが、少し昔の農村では、田畑周辺の葛のツルは作業用の材料として役立ち、馬・牛・やぎ・ウサギなどの草食動物が好んで食べることから飼料としても重宝されていました。
さらには、大きく肥大した塊根からデンプンを取りくず粉として利用して、くずきり・くず餅などの和菓子にしたり、今ではメジャーではありませんが、ツルの花やツル先も天ぷらとして食用にしていました。
もちろん、薬としても葛は役に立ち、根を乾燥させた物を「葛根」と呼び、花を乾燥させた物を「葛花(かっか)」と呼び、人間の生活に欠かせない生薬として重宝されてきました。
葛花は近年では手に入りにくい生薬となってしまいましたが、葛根は今でも手軽に手に入れることができます。
今回はそんな葛根に焦点を当ててみましょう。
※あまり見ることのない葛の花※
葛根の効果
風邪のひき始めの特効薬として有名な葛根湯は、熱を取る作用があり、さらに首や肩のこわばりを改善させてくれます。
そのため、風邪のひき始めの「ゾクゾク」っとした症状に最適で、また、肩こり緩和にも優れた効果を発揮させるため、昔から肩の凝りやすい職業の人、作家や医師(内科医等)が好んで飲んでいます。
生薬でなくとも役立つ「くず粉」の効果
葛根とは少し違いますが、くず粉も優れた栄養の持ち主。
くず粉は葛の根からデンプンの成分を取りだしたもの。
ジャガイモを擦って水に浸けておくと白い粉状の物が沈殿しますが、それと同じようなイメージだと思って大丈夫です。
そのくず粉には、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボン誘導体や10種類以上のサポニンなどが含まれており、血流改善、ホルモンバランスの調整など女性に嬉しい効果が満載です。
ですが、くず粉は「本くず粉」と表記されていても、他のデンプンが混ざっている商品が多い為、「100%くず粉」のみでできているくず粉を選ぶ様にしましょう。
このくず粉は、葛根湯と異なりお湯で溶かすととろりとした飲み物になるため、そこに黒糖や生姜などを入れて味付けをした「葛湯」は冷めにくく、体を温める効果があり、冬には最適の飲み物になるのです。
くず粉の最高の食べ方3選
【風邪予防にミカン&生姜の葛湯】
体を温める効果のある葛と同じく、体を温める効果のある生姜、そこに免疫力を高める冬の風邪退治食ミカン果汁を合わせることで、毎日飲んでも体に美味しく優しい、風邪予防ドリンクができます。
作り方は簡単。
葛にお湯を混ぜて葛湯を作り、そこに生姜の絞り汁を少しとミカン1つ分の絞り汁を入れて混ぜるだけ。
ミカンの酸味がさわやかで、冬の寒さを追い払ってくれます。
【熱があってもリンゴ葛湯で風邪の邪気を追い払う】
葛には体の熱を取り、乾きを潤す作用があるのですが、リンゴにも同じく熱を取り体を潤す作用があります。
その二つを合わせることで相乗効果が高まり、風邪の引き始めで熱が出てしまったときでもとても効果的。
作り方も簡単で、お湯で溶いた葛湯の中にすりおろしリンゴを入れるだけ。
熱っぽさが増している時は、お水で溶いたり、葛湯を冷まして冷たくして食べても美味しいでしょう。
西洋では1日1個のリンゴで風邪を予防できると昔から言われていますので、東洋の風邪予防法と西洋の風邪予防法、両方の良いところをとった1品です。
【風邪の寒気には「シナモン&生姜葛湯」】
シナモンや生姜には血流を改善し、体を温めたり発汗を促す作用があります。
シナモンも生姜も実は生薬なのですが、これらもほどほどの量であれば、毎日摂取しても全く問題の無い優れた食材。
作り方は一段と簡単で、葛湯の中に黒糖と、シナモン&生姜の絞り汁を好みの量入れるだけ。
その日の気分や体調によって、シナモンだけにしたり、生姜だけにしたりするのもありでしょう。