甘いだけじゃない! 杏仁でできる薬膳料理
杏仁豆腐を作るだけじゃない「杏仁」に秘められた美容パワー
杏仁と聞くと、あの白くて美味しい中華のデザート「杏仁豆腐」を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
ですが、中には「杏仁豆腐」と書いておいて「ミルクゼリー」を出すお店もあることも……。
しかし、杏仁豆腐の香りは独特で、いくら色味や食感が同じでも、ミルクゼリーと杏仁豆腐を間違える人は少ないはず。
杏仁豆腐のあの独特の香りを作っているのが、「杏仁(きょうにん)」。
香り以外は意外と知られていない杏仁にスポットを当て、その驚きの美容パワーをお伝えしたいと思います。
杏仁の主な栄養素と効果
【杏仁の主な成分】
- タンパク質
- 脂質
- ビタミンC
【杏仁に期待できる効果】
杏仁とは「アンズの果実から取り出した種子」のことで、なんと木の種類によって「甘み」そして「苦み」に分かれるのです。
「杏仁とは杏仁という果実から取れるもの」というイメージが多い中、実は「アンズの種子」の中にある「仁(サネ)」というところで更に驚きが増しますが、「タンパク質」「脂質」が含まれていることから、「果肉と言うより種子なのだな」とわかるかもしれません。
因みに「杏仁」とは「杏(アンズ)の仁(サネ)」ということで「杏仁」なんですね。
もちろん、ビタミンCも豊富なため、美容効果も期待できるのですが、それ以外にも杏仁には期待できる効果があります。
まず漢方として使う杏仁は、苦い杏仁「苦杏仁」を使います。
この苦杏仁は三世紀頃に書かれた、最も古い中国の漢方薬書に麻黄湯、大青竜湯などの漢方薬の処方に用いられていると記されている、かなりの歴史ある漢方薬です。
喘息などの咳症状をしずめ、血圧を低下させたり、抗がん作用などがあると言われています
また、薬膳料理に用いられるのは、やはり甘い杏仁である「甘杏仁」。
その甘杏仁をさらに粉末状にした「杏仁霜」というのは、料理に用いられる物なのです。
一見すると、ちょっと湿気を帯びた小麦粉のような物なのですが、甘杏仁100%のものは、そこに置いてあるだけでとても甘い、あの杏仁豆腐の香りがします。
当然甘杏仁にも素晴らしい薬膳効果があり、杏仁に含まれている脂質(油)は肌の保湿力を向上させてくれるため、乾燥肌用化粧水に用いられることもあるほどなのです。
杏仁の旬と保存方法
日本において生の杏仁を手に入れられる人は、まずいないでしょう。
基本的に手に入れるとしたら、輸入食料品店や、大きめのスーパーなどで、杏仁を粉にして油をとった「杏仁霜」の状態の物を購入する事となるでしょう。
今では通販でも手に入れることができますが、いずれにしろ杏仁の旬は6月~7月なので、8月~9月ころのものを選ぶと、少し新鮮……かもしれません。
加工品なので、直射日光を避けて冷暗所で保存すれば、長期保存も可能です。
因みに、「杏仁豆腐用」と記載されている物を選んでしまうと、寒天や砂糖がミックスされてしまている場合もありますので、100%杏仁と記載されている物を選ぶようにしましょう。
その方が、色々な料理に使えて凡庸性が高いです。
余談ですが、漢方薬として用いる場合は「杏仁」と書いて「きょうにん」と読み、料理などに用いる場合は「あんにん」と読む決まりになっているそうです。
杏仁に「+α」でオススメ食材
【+「ハチミツ」で咳止めに!?】
杏仁の一番の効果は「咳を鎮める」こと。
苦杏仁を入れた漢方薬である「麻黄湯」は風邪の薬。「大青竜湯」はアレルギーの薬として用いられている事からもわかります。
そんな杏仁に、喉を潤す力のあるハチミツを入れることに預手、喉の腫れを取り除き、咳を緩和させる効果のある、薬膳料理ができるのです。
作り方は簡単、「ハチミツと杏仁を混ぜて、お湯で溶くだけ」。
それで咳や喉に効果的な1杯が出来上がります。
ヘルパンギーナや扁桃炎などで、喉が痛くてツバすら飲み込めないときでも、するりと飲むことができるため、水分補給に役立ちます。
【+「ミントAND氷砂糖」で喉の腫れ緩和に】
※杏仁豆腐に+αでも※
+ハチミツでも喉に優しい飲み物が作れるのですが、ミントと氷砂糖でも美味しくて、喉に優しい薬膳飲料ができます。
杏仁の咳止め作用と、ミントと砂糖の体を冷やす効果を用いることで、喉が腫れているときや炎症している時の痛みを和らげることができるのです。
作り方はこれまた簡単。
お湯に杏仁霜と氷砂糖を溶かし、ミントを刻んで入れるだけ!
冷たく冷やしても美味しい1杯です。
杏仁にもある注意ポイント
杏仁豆腐などを食べて気にする部分はカロリーくらいですが、苦杏仁には取り過ぎによる「中毒症状」があります。
甘杏仁意外の物を食べる事はあまりないと思いますが、苦杏仁を摂取する場合は1日10g以上は食べないようにしましょう。