人参は実は漢方薬としても使われる薬膳食材だった!?
βカロチンの王さま「人参」は立派すぎる薬膳食材
人参=βカロチンというイメージは誰もが持ち合わせているものだと思いますが、では、そんな人参が「漢方薬としても使われている」というのはご存じでしょうか?
高麗人参などといった、特殊で高級な人参はもちろんなのですが、人参は「人参養栄湯」を代表とした漢方薬に含まれており、健胃作用や整腸作用、鎮痛作用、去痰作用があると言われており、病後や産後の滋養強壮にも良いと昔から使われています。
とはいえ、ただ人参を食べれば漢方並みの効果を得ることができるのかと言われたら……そんなことはありません。
上手に他の食べ物と組み合わせることによって、生薬としての効き目を感じることができるのです。
そんな人参について、詳しく調べてみましょう。
人参の主な栄養素と効果
【人参の主な栄養素】
- カリウム
- カルシウム
- ビタミンA(βカロチン)
- ビタミンA(レチノール活性当量)
【人参に期待できる効果】
人参といえばなβカロチンは、抗酸化作用に優れており、免疫力を向上させガン予防やアンチエイジング機能向上の手助けをしてくれます。
また、ニンジンそのものも肝臓の働きを正常にしてくれる効果があるため、血を補い貧血予防をしてくれる他、夜になると物が見えにくくなる「夜盲症」の予防にもよいとされていて、昔は「鳥目(夜になると目が見えなくなる病気)の薬には人参」といわれていた程です。
もちろん、目の疲れや視力低下の改善にも有効です。
他にも、胃腸機能を整える効果もあるため、食欲不振、下痢、便秘の改善にも優れた効果を発揮します。
現代人は目を酷使しますので、1日一本の人参で眼精疲労予防に使えるかもしれません。
人参の旬と保存方法
人参の旬は4月~7月と11月~12月の2回。
栽培には涼しい気候の方が良いそうで(苗の段階では高温にも耐えられるので、夏に種を撒いて冬に収穫することができる)、そのため日本では北海道などで良く栽培されています。
質の良い人参を選ぶコツは、①色が鮮やか、②表面にハリがある、③葉の切り口が大きいと固くなっている証拠なので、できるだけ小さい物を選ぶ様にする。というのがポイント。
人参は湿気にとても弱く、栽培時にも水はけが悪いと根腐れを起こしてしまうほど。
そのため保存する際も水気を拭いて、新聞紙に包んで冷暗所に置くようにしましょう。
夏場だと湿度が高いので、さらにポリ袋に入れてから冷蔵庫の野菜室に入れると良いでしょう。
人参に+αのオススメ組み合わせ食材
【+「干しぶどう」で疲れ目改善に】
人参サラダに干しぶどう。
これだけで、人参のβカロチンと干しぶどうのアントシアニンを同時に食べることができ、疲れ目改善に役立てることができます。
よく「サラダに干しぶどうなんて……」と苦手とする方もいるのですが、ドレッシングを「レモン・塩・オリーブオイル」などといったシンプルな物にすると、甘酢っぽいアクセントとなって、とても美味しいサラダが出来上がります。
【+「牛肉」で貧血予防】
人参は肝機能を良くし、貧血予防に役立つ植物なのですが、牛肉も血を補うことのできる食材。
この2つを組み合わせることで、貧血予防として優れた一皿になります。
食べ方としてオススメなのは、やはり千切りにした人参と、細切りにした牛肉をごま油で炒めて、オイスターソースで味付けしたもの。
そう、チンジャオロースーのような食べ方。
もちろん、ピーマンやタマネギを入れてもより美味しくなります。
人参にもある注意ポイント
台所の常備野菜のイメージがある人参ですが、食べる時に注意ポイントが2つもあります。
1つは、「生の人参には注意」ということ。
生の人参にはアスコルビナーゼという酵素が含まれているのですが、このアスコルビナーゼ、他の野菜のビタミンCを破壊してしまうのです!!
なので、せっかくビタミンCも補給したくてサラダを食べても、人参が生だと台無しになってしまうので、できれば人参は炒めて食べた方が良いでしょう。
特にβカロチンは熱で壊される成分ではありませんし、むしろ油と一緒に食べるとより吸収量が増すので、できれば人参は「油で炒めて」食べるようにしましょう。
そして、第2の注意点は、「電子レンジで発火する可能性がある」という怖ろしいもの。
生の人参を少量でレンジでチンしてしまうと、電子レンジのマイクロ波によって人参の中から電気が発生して、スパーク現象と共に発火、炭化するという現象が報告されています。
回避するには、チンする人参の量を1回100g以上にするか、人参に少量の水をかければ良いので、人参をレンジで加熱する際には注意するようにしましょう。