梅雨時期のお弁当に「からし」を入れて食中毒予防
お弁当を腐らせない先人達の知恵で食中毒予防
保冷剤も抗菌パックもない時代。
お婆ちゃん達はどのように食中毒予防をしていたのでしょうか?
日本はお米を主食とした時から、「お握り」といった形で「お弁当」を持ち歩くことを主としていました。
しかし、お握りはサンドイッチやバゲットなどと違い、手で触れる部分が多くどうしても腐りやすくなってしまいます。
そのため、先人達は「抗菌」という概念ができるまえから「からし」で食中毒予防をしていたのです。
そんなからしのすごいお話しをお伝えします。
からしにできるすごいこと
※マスタードも辛子の仲間※
からしは漢字で書くと「辛子」となり、たくさんの種類があります。
中でも白辛子(カクガイシ)と呼ばれるからしは、タンをとり、咳を鎮める成分があり、昔から今に渡って生薬として使われてきました。
ヨーロッパでも、からしをお湯に溶いてそれを足湯(!)にすることで、風邪予防に使ってきました。
そんなからしの中には「ナトリウム」「リン」「マグネシウム」「カルシウム」などが含まれていて、ただ辛いだけじゃないことが解ります。
実は、からしはガンへの効果が期待されており、からしの辛み成分「アリルイソチオシアネート」にはすぐれた抗菌作用があるということがわかったのです。
そんなからしは生魚と組み合わせることで食中毒予防に有効とされ、お弁当文化、魚食文化の強い日本では、大昔から食中毒予防としてからしが使われてきたのです。
からしの有効利用法
からしは抗菌成分があるため、お弁当のおかずに利用するとよいとされています。
例えば、唐揚げの下味をつける際にからしを入れてみる、青菜のおひたしにからしを入れてみるだけでもOK。
そんなお弁当にもオススメなレシピを2つご紹介します。
鶏胸肉のマスタードソテー
■材料■
- 鶏胸肉(ササミでも可)
- マスタード
- 白ワイン
- クレイジーソルト
■作り方■
①鶏胸肉を食べやすい大きさに切ったら、油を敷いたフライパンでしっかりと焼いていきます。
②白ワインにマスタードを加えて混ぜ、それを①の火の通った鶏胸肉にかけます。
③煮詰まったらクレイジーソルトで味を調えて完成。
マスタードもからしでできているので、同じく抗菌作用があり、風味も豊かで、それだけで立派なソースになります。
しかもこのレシピ、からしが鶏肉の消化を促し、辛みが食欲増進につなげてくれる2度美味しいメニューなのです!
菜の花の辛子醤油和え
■材料■
- 菜の花
- 辛子
- 醤油
■作り方■
①菜の花をさっと茹で、食べやすい大きさに切ります。
②辛子醤油で①の菜の花を和えて完成。
とても簡単で、春らしい一品なのですが、菜の花にはβカロチンや鉄分が多く、からしの成分が血行促進を促してくれるので、貧血予防にもオススメの、女性向けのおかず。
ほろ苦さもからしの辛さで中和されて、食べやすくもなっているのでオススメです。
※胡麻を入れても美味しい※
からしを胸に貼る民間療法も!?
からしには食べるだけではなく、湿布として使う用途もあります。
練り辛子(粉のからしを水で練ったものでも可)を、ガーゼの上に広げ、それを畳んで、胸に貼ると、気管支炎や風邪によるタンの絡みなどに有効とされています。
この民間療法はかなり大昔から日本人がやってきた治療法で、用法を間違えなければ効果が期待できる方法として、医療の世界でも見直されて来ています。
ただし!!
からしはご存じの通り刺激のある成分でできているため、肌の弱い方や、喘息などで小さな刺激でも咳が出てしまうような場合はこの方法はおすすめできません。
体には優しい方法かもしれませんが、心配な場合は担当の医師などに相談するようにしてみましょう。
粉からしを食べる時はここに注意
練りからしなどはチューブで売られており、気軽に買えますが、実はほとんどがあの辛みは人工的につけたもの。
もちろん、そうではないものもあるのですが、本来からしの辛みは水で溶くことによって発生し、揮発していくために長持ちしないものなのです。
ですので、からし本来の味を楽しむならば粉からしを購入し、自分で溶いて使うのが一番なのですが、やっぱり粉からしとはいえ、水を入れたらすぐに辛み成分が揮発していきます。
それを防ぐ為に、粉のからしを食べる時は、「食べる直前に」「ぬるま湯で練る」のが鉄則!!
辛みと香りが引き立ち、大人の味を楽しむことができるでしょう。