ことわざに含まれる先人たちの知恵と食生活
「ことわざ」は健康に関するおばあちゃんの知恵の宝庫だった!?
ことわざというものは、どの国、どの言語を使う民族であっても、必ず残されているものです。
先祖が過酷な環境や実体験から得た教訓を、仲間に伝えるべく、そして子孫に伝えるべく、残していったもの。
特に食に関することわざには、現代でも有効な健康に関する知恵がたくさん残されています。
「ああ、おばあちゃんはよくこんなことを言っていたな」と思い出しながら、ことわざに凝縮された先人たちの知恵を再び感じてみましょう。
番茶梅干し医者いらず
何度かこの健康の知恵袋でも紹介していますが、「梅しょうゆ番茶」という飲み物があります。
梅干しを崩して、お醤油を混ぜて練ったものに、番茶を注いで飲む昔ながらの飲み物なのですが、これは昔の風邪の特効薬。
ここに、日本が誇る「葛」を入れるとより効果的で、風邪はもちろん食欲不振などにもよく効いて、夏バテ予防にもなります。
お茶のカテキンが喉のインフルエンザ菌と戦ってくれるということもあり、現代でもインフルエンザシーズンに予防として飲むことをお勧めします。
柿が赤くなれば医者が青くなる
「リンゴが赤くなると医者が青くなる」
「トマトが赤くなると医者が青くなる」
など、赤い物はどうやら医者を青くさせる……つまり、健康によい食べ物だという事がことわざからわかります。
リンゴやトマトなどは、日本だけではなく、世界各国で医者を青くすることわざがありますので、古来より、健康に良い食べ物だという事が分かっていたのでしょう。
そして、柿。
柿は元々中国から弥生時代に日本に伝わってきたといわれていますが、種子島からポルトガルへ伝わったこともあり、欧米諸国でも柿の原産地=日本という感覚で、柿のことも「Kaki」と呼ばれているほど。
そんな柿にまつわることわざなのですが、これには2つの意味があります。
1つは「秋の天候の良い時期には病気がない」という、柿が赤くなる時期の過ごしやすい環境を意味したもの。
そしてもう一つは「柿の栄養素について」を意味したものがあります。
柿には豊富なビタミンCが含まれており、また冬場の大切な糖分でもあります。
柿のヘタを煎じて飲むとしゃっくりや吐き気が止まるということもあり、さらに柿の渋みは高血圧や脳卒中予防に良いとされているため、柿は冬の万能薬なのです。
冬至かぼちゃに年をとらせるな
冬至とは、夜が最も長くなる日のこと。
その時期はとても寒く、野菜もとれにくくなるため、昔は夏に収穫した野菜を大切に保存して冬に食べていました。
もちろんかぼちゃは保存が利いて、栄養素も多いのですが、いくらかぼちゃとはいえ春先まで保存してしまうと栄養価はダダ下がり。
味も落ちてしまうため、「保存は冬至までが限界だよ」という意味のことわざだったのです。
冬至にかぼちゃを食べる意味は、「最後の保存のかぼちゃを食べる日」という事だったのです。
現代では真夏の野菜でも真冬に購入することができますが、野菜はできる限り新鮮なうちに食べるようにしましょう。
三里四方の野菜を食べろ
現代ではあまり聞いたことのないことわざかもしれませんが、三里は12キロメートル。
そこに四方とありますので、半径12キロメートル圏内、大体市を2つほどまたぐ距離でしょう。
その範囲内で撮れた野菜を食べていれば長生きができるという意味のことわざなのですが、これは昔の環境が大きくかかわっています。
昔は交通網が今よりも発達していないため、遠くの野菜を運ぶには時間がかかってしまいます。
そのため、どんなに珍しい野菜でも自分の口に入るころには鮮度が落ち、栄養も損なわれてしまいます。
また、12キロ圏内であれば、自分の住まいと気候(気温や風土)はそう変わりません。
つまり、今自分が住んでいる環境に適した野菜を食べることによって、環境にあった体になるという意味もあるのです。
現代では交通網も発達しているため、遠くの野菜でもそこまで鮮度が古くなることもありませんが、できる限り地元でとれる新鮮な野菜を食べて、より多くの栄養素を摂取できるようにしましょう。
花見過ぎたらカキ食うな
5月~8月は牡蠣の産卵期になります。
そのため、生殖巣が成熟して毒をもちやすく、食中毒の可能性がグンと上がる時期なのです。
また、産卵期の牡蠣は生殖巣を成熟させるための栄養分も使い果たしてしまい、味が落ちてしまうため、花見シーズンを過ぎた牡蠣は食べないようにしましょうという教訓なのです。
ですが、今では牡蠣も冷凍ものが出回っているので、そうしたもので当たることはまずありませんので、安心して食べて大丈夫でしょう。
因みに牡蠣のシーズンは11月~2月。
お鍋の美味しい時期に、身の詰まった美味しい牡蠣を食べて、冬の寒さを乗り切りましょう!!