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秋の健康食材「秋刀魚」の知恵を先人たちから学ぼう

健康の知恵袋
秋の健康食材「秋刀魚」の知恵を先人たちから学ぼう

「薬の魚」と言われる秋刀魚(さんま)の優れた食べ方で秋を乗り切ろう

実は歴史の浅い秋刀魚。

「秋の刀の魚」と書かれている通り、秋が旬の刀のような形状の魚ですが、日本人がこの秋刀魚を食べ始めたのは江戸時代に入ってからとのこと。

弥生時代の遺跡からは漁師網や銛、蛸壺などが出土しているし、万葉集には塩漬けの魚のことや干し魚のことも書かれている。
そして、農民たちから平安貴族に献上された魚の記録には、タイ・カツオ・アジ・カレイやサメまであるのだが、秋刀魚の文字は見当たらないそう。

こうなってくると、秋刀魚は当時の日本近海にいなかったのではないかと思うほどですが、江戸時代に入る少し前から、秋刀魚で油を取って灯りにする。

つまり、行燈の灯り用の油として利用されることとなりました。

それが、時代が少しずつ進み、皮肉なことに行燈の灯りなどで火事が多かった江戸の街は「秋刀魚が嫌い」なんて言っている場合ではないほど生活に窮するようになってきました。

やがて江戸時代初期に「安くて長生きは秋刀魚なり」と貼り紙をした魚屋が登場するようになり、秋刀魚の美味しさに日本人が気が付くようになったのです。

とはいえ、刀の形に似ているため、ゲンを担ぐお侍たちは秋刀魚を食べることはありませんでした。

今では「薬の魚」と言われるほど、栄養価が高く体に良い成分が含まれていることの分かった魚。

商魂たくましい魚屋さんに感謝して、そんな秋刀魚の栄養価を100%活かせる食べ方などをお伝えします。

秋に秋刀魚を食べるべき理由と良い秋刀魚の見分け方

秋刀魚

江戸時代初頭に食べられるようになったという、意外と歴史の浅い秋刀魚ですが、その栄養価値については現代科学で調べてみると驚きのすごさ。

まず、青魚特有のEPAとDHAが豊富に含まれており、脳の働きを良くする他、動脈硬化予防などの生活習慣病改善に役に立ちます。

そして、造血作用を促すビタミンB12が豊富な上に、コラーゲンも含まれているため、貧血予防や美肌効果にも良かったのです。

そんな秋刀魚の旬は秋。

この時期の秋刀魚はEPAとDHAがある脂がのっており、味も栄養価も最高潮の時。

因みに、7~8月に北海道などの寒冷地で取れる時期の秋刀魚の脂は約10%。
それが、9~10月に関東付近で秋刀魚が上がるころは約20%も!!

たった2か月違うだけで、2倍も脂の量が違ったのです。

新鮮な秋刀魚は口の先が黄色みがかっており、皮が光っていて、身に張りがあります。
(上記の写真のような秋刀魚が理想です)
ついでに、身の幅が太ければ脂がのっているのでさらにGOODです!!

秋刀魚に+αでおいしい食べ合わせ

ノーマルに焼く時は大根おろしを忘れずに

焼き魚

大根おろしにはジアスターゼと呼ばれる消化酵素が含まれています。

これはお肉を消化するのを手伝ってくれる他、油などを分解する手助けもしてくれます。

江戸時代の日本人は魚食がメイン。
しかも油が多く腐りやすいトロなどは、肥料として扱われていたほどでしたので、秋刀魚の脂分は当時の日本人にとっては「かつ丼」や「焼肉」クラスだったのかもしれません。

そのため、焼いた秋刀魚には大根おろしを付けるようになりました。

こうすることによって、消化吸収を早めてくれるため、胃腸に無駄な負担がかからないようにしてくれるのです。

また、大根おろしには「ヒスタミン」を分解してくれる酵素もあるため、青魚でヒスタミンを貯めやすい秋刀魚を食べる時は、大根おろしは忘れず付けるようにしましょう。

玉ねぎを入れて血栓予防を強化

マリネ

玉ねぎは血液サラサラ成分が含まれていることで有名ですが、それを秋刀魚と合わせることにより、さらに血液サラサラに……。

おすすめの食べ方としては、「秋刀魚の酢締め」。

軽く塩を振った「刺身用秋刀魚」を食べやすい大きさに切り、すりおろした玉ねぎと酢を混ぜたものに漬け込み一晩おいてみましょう。

お酒のおつまみとしても最高の、秋刀魚の酢締めが完成です。

酸っぱいのが苦手な方は、秋刀魚を油で揚げて、薄切りにした玉ねぎと共に「マリネ」にしてしまうのもありです。

滋養強壮には+ごはん!?

炊き込みご飯

焼き秋刀魚にご飯……。

日本人にとっては当たり前のメニューだったのですが、近年ではご飯(お米)の消費量がどんどん減っているそう。

ですが、お米はどんな穀物よりも、バランスよく栄養素を含んでおり、なによりお米のエネルギー力は優れもの。

そこに、鉄分とビタミンB12の秋刀魚を加えれば、滋養強壮の1膳の完成。

白米でももちろん美味しいのですが、せっかくなので、「秋刀魚入り炊き込みご飯」の作り方をご紹介します。

とはいえ作り方は簡単。

薄切り生姜・3センチ幅に切った昆布2~3枚・醤油少々・酒少々と、食べやすい大きさに切った生の秋刀魚を入れ、砥いだお米を混ぜて炊飯器の炊き込みボタンを押すだけ!!

これで、胃腸の調子を整え、疲れた体にエネルギーを供給する、すばらしいご飯の完成です!!