子どもも大好きな水飴は昔の栄養ドリンクだった!?
江戸時代のメジャーソフトドリンク「水飴」は薬膳レベルの飲み物だった
水飴と言えば、子どもの頃にお婆ちゃんやお母さんが梅干しと一緒に練り上げて、甘酸っぱいおやつを作ってくれた思い出の一品かもしれません。
今どきはもう、水飴は縁日で売られているのを見るくらいで、清潔好きな親御さんに育てられた子どもは、ひょっとすると食べたことがないかもしれません。
トロリとして、甘いのに固まらない水飴。
そのまま食べるだけではなく、料理などにも使える便利な代物なのですが、江戸時代ではとてもメジャーな飲み物でした。
薬膳では固くなったものを「膠飴(こうい)」と呼び、腹痛や慢性の席、呼吸困難の緩和などに用いています。
古いおやつではなく、今でも使える健康にも良く、便利な水飴をもう一度見直してみましょう。
そもそも水飴とは?
水飴とは、ただ単に水に砂糖を溶かしたものではありません。
ハチミツや砂糖などではなく、芋やトウモロコシなどに含まれる「でんぷん」を使った甘味料となります。
昔から伝わる水飴の作り方はとても大変なのですが、でんぷんから麦芽の中に含まれている酵素を使って作るので、優しい美味しさがあり、かつ体にも優しい作り甲斐のある水飴です。
簡単に作り方を書くと……。
- もち米を洗って、炊いて、炊きあがったもち米ご飯に水を加えて練り、お粥状にする。
- 麦芽小麦を①のお粥に入れて、よく混ぜて、保温して発酵させる。
- 7時間ほど保温して、発酵が済んだら鍋を用意して、ざるとさらし布の上にこの発酵したもち米ご飯をのせます。
- 発酵したもち米ご飯をよく絞り、その水分を鍋にためていきます。
- あまり絞り過ぎるとニガリ部分が出てしまい苦くなってしまうので、ほどほどのところでやめにして、鍋に溜まった水分を煮詰めていきます。
- ⑤を1~2時間ほど煮詰め、お玉ですくってトロ……ポタっと垂れるくらいの固さになっていたら完成。
よく煮沸消毒した瓶に入れて保存しておくと、かなりの長期間保存ができますので、手間はかかりますが、楽しめます。
こうしてできた自然の水飴は、咳や腹痛に効果がある他、痛み止めや体を潤す作用もあると言われており、江戸時代、動揺していたり、泣いている女子供に飲ませる最適な飲み物として常備されていました。
現代の大量生産の水飴はNG
このように、麦芽酵素の働きでお米を糖化させて、自然な方法でろ過して作った物は昔ながらの水飴として、薬効もあり、体にも優しい物として食べることができます。
ですが、現代では大量生産された「水飴」の方が多く売られており、注意が必要です。
この水飴はトウモロコシから生成されたコーンスターチに酸や酵素を使って、高温高圧で無理矢理糖化させて、精製させたものですので、ビタミンやミネラルが不足してることも多く、また、糖分も必要以上に多く取ってしまうことになります。
昔ながらの本来ある作り方でできた水飴の場合「米水飴」「麦芽水飴」などと表示されていますので、できる限りこうした表示のある水飴を利用するようにしましょう。
因みに、水飴があんなに甘くてドロリとしているのに固まらない理由は、でんぷんの糖化途中でデキストリンという成分が生まれ、これが粘性・保水性を作る元となる他に、砂糖の結晶化を防ぐ働きがあるため、固まらないのです。
より効果的な水飴の食べ方
+生姜でお腹に美味しく
お腹を温め、腹痛の緩和に良い水飴ですが、そこにさらに胃腸を活性化し、体を温めてくれる成分である生姜を加えることによって、より一層お腹に良い飲み物を作ることができます。
作り方はとても簡単。
お湯に溶かした水飴に、乾燥させた粉末生姜をそのまま加えてよく混ぜるだけ。
既に水飴で十分に甘いので、そこに生姜が加わることで、葛湯のような美味しさが楽しめます。
滋養強壮を考えるなら+高級漢方
これはもう水飴というおやつの概念を超えた、薬膳湯。
+高麗人参
+当帰(トウキ)
+黄耆(オウギ)
この3つの漢方を混ぜることで、エネルギーを補充し、貧血も改善するような血の補充もできる1杯ができます。
高麗人参・当帰・黄耆の3つの煎じ汁に水飴で甘みを足すようにして、飲むと元気の補充できる薬膳ドリンクとなります。
値の張る一杯となりますが、もし、こうした漢方薬を手に入れることができれば、ぜひ試してみたい1品です。